Company Report

電気計器株式会社

最後まで、つくり続ける——。

大阪府・豊中市 変圧器・リアクトル・計器用変成器
01

豊中市に本社・工場を構え、変圧器・リアクトル・計器用変成器の製造・販売を手がけています。

02

創立は昭和5年。今年で97年目を迎える、電気インフラを陰で支える老舗メーカーです。

03

同業者が次々と撤退するニッチ分野で、最後まで供給を続ける「ラストランナー」を貫いています。

わたしたちからみた電気計器さん

変圧器とリアクトル——電気インフラを陰で支える

まずは会社案内のプレゼンテーションから始まりました

前田慶人取締役による丁寧な会社案内プレゼンテーションから始まりました。

電気計器さんは大阪・豊中市に本社と工場を構え、変圧器・リアクトル・計器用変成器の製造・販売を手がける会社です。創立は昭和5年3月9日、取材時点で97年目という長い歴史を持ち、資本金は4,500万円、従業員はグループで約100名という規模で事業を続けています。本社工場のほかに車で5分ほどの場所にもう一つの生産工場を構え、営業拠点は大阪(本社)と東京(神保町)の二か所。ここから日本全国のお客様へ製品を届けています。

取材は、役員の前田取締役にご用意いただいたスライドによる丁寧な会社案内のプレゼンテーションから始まりました。普段の暮らしの中で「変圧器」という言葉に触れる機会はほとんどありません。けれども、電柱の上に乗っている灰色のバケツのような機器、あれこそが変圧器です。発電所では27万5,000ボルトから50万ボルトという非常に高い電圧で電気がつくられ、それを各変電所の変圧器で段階的に下げ、最終的に家庭で使える電圧まで落としている——図を交えたわかりやすい説明に、ぐいぐい引き込まれていきました。

なぜわざわざ高い電圧で送るのか。低い電圧のまま送ろうとすると電線が極端に太くなり、送電の途中で電気が逃げてロスも大きくなってしまう。だから電力会社は、あえて高い電圧で送り、各地で段階的に下げているのです。学生時代に習った物理が、目の前の製品の中でそのまま生きていることを実感できる、とても面白い時間でした。

変圧器の原理そのものは、電磁誘導の法則を利用したシンプルなものです。薄い珪素鋼板を重ねてつくった鉄心にコイルを巻き、入力側に電圧を加えると鉄心に磁束が生まれ、それが二次側のコイルを貫くことで電圧が出力される。電圧の比はコイルの巻数比に比例し、たとえば一次側に400回、二次側に100回巻けば、400Vを加えると100Vが出てくる。巻き方次第で電圧を上げることも下げることもできるのだと、原理から製品までを一気に見渡せる構成で解説していただきました。

印象的だったのは、「この原理は発明されてからほとんど変わっていない」という社長の言葉でした。電磁誘導の法則が確立されてから数百年、その根本は今も変わらず動き続けている。だからこそ、構造が単純で寿命も長い。変圧器の使用期間は長いもので30年を超えると言われ、最終的には絶縁物寿命前に交換するのが基本だそうです。創立97年の同社でさえ、製品でいえばまだ「3回転」ほどの歴史。「電気がある限り、この機器は必要とされ続ける」——変わらぬ技術を担い続けることへの、静かな自信がにじんでいました。

もう一つの主力製品がリアクトルです。電圧を変換する変圧器とは違い、リアクタンスを利用して電流を「抑制」するための機器。モーターは起動の瞬間に定格の5〜7倍もの大きな電流を必要とするため、直接電源につなぐと電源電圧が一気に下がり、同じ系統のパソコンや照明が消えたりといった悪影響が出てしまいます。そこでモーターにリアクトルを接続することで、起動時の電流を抑えることができます。使うのはほんの30秒ほどの立ち上がりの瞬間だけ、というのも意外でした。用途は上下水道のポンプ設備、廃棄物の破砕機、バイオマス発電の発電機、大型施設の空調を担うターボ冷凍機、ゲリラ豪雨時の災害用排水ポンプまで実に幅広く、船舶の小回りを助けるサイドスラスターのように3,000キロワット級の電力を一瞬だけ抑える特殊な用途まであると伺い、その応用範囲の広さに驚かされました。私たちの生活を支える数々の設備の「立ち上がり」を、同社の製品が静かに担っているのです。

コイルを巻く——変圧器の心臓部をつくる巻線工程

変圧器の心臓部であるコイルを巻く巻線工程

変圧器の心臓部であるコイルを巻く、巻線工程を見学させていただきました。

会社案内のあとは、いよいよ工場見学です。まず案内されたのは、変圧器の心臓部であるコイルをつくる巻線工程でした。材料の主流は銅線ですが、近年の銅価格高騰を受けて、大型製品ではアルミ線を採用する機会も増えているとのこと。アルミは銅より軽くコストも低い一方、電気抵抗が高いぶん断面を太くする必要があったり加工が難しいなど、銅とはまた違った難しさがあるそうです。

巻線には大型機や、ローラーで押さえながら巻く加圧式の機械もありますが、多くはハンマーで叩いて電線を密着させながら巻いていく手作業です。そのテンションや力加減ひとつで、同じ仕様でもコイルの大きさがわずかに変わってしまう。「大きく巻くのは簡単、小さくまとめるのが難しい」と伺いました。何度も巻くからこそ、ほんの少しの差が積み重なって最後に大きく効いてくる。まさに熟練の技の見せどころです。

熟練コイルの電線は、私たちが目にする電化製品の電線とはまったく別物でした。複数もの太い電線を束ねて(パラで)巻いていく。触らせてもらうと驚くほど硬く、これを束のまま自在に扱う職人技には圧倒されるばかりでした。さらに、束ねた電線の内側外側で長さが変わってしまうと抵抗値に差が生まれ、放っておくと電流が偏って発熱・焼損の原因になります。そこで巻きの途中で何本もの線を「三つ編み」のように入れ替え、抵抗を揃えていく。16本もの硬い線を一本ずつひっくり返して入れ替えていく気の遠くなるような作業を、職人さんは淡々とこなしておられました。一本のコイルの中に、これほど緻密な計算と手間が込められているとは想像もしていませんでした。

含浸・組立・検査——一台ずつ仕上げ、送り出す

真空含浸・組立・検査の各工程

含浸から組立、最終検査まで、一台ずつ丁寧に仕上げていきます。

巻き上がったコイルは、真空含浸という工程へ進みます。専用の槽にコイルや変圧器ごと沈め、内部を真空にしてから接着剤(ワニス)を吸い上げる。空気の層をなくすことで、毛細管現象のように液が隅々まで染み込み、より強固な接着と絶縁が得られるのだそうです。物を水に落としても中まで染み込まないのと同じで、空気を抜いてはじめて液は芯まで届く——その原理を実物で見せていただき、深く納得しました。昨年まではシンナー系のニスを使っていたものを、可燃性の高さや作業環境への影響を踏まえ、安全性を重視して全面的にエポキシ系へ切り替えたとのこと。含浸後は乾燥炉で140度ほどの熱を加え、ガチガチに固めていきます。

続く組立工程では、鉄心とコイルを一つの製品にまとめ上げていきます。鉄心には積層鉄心と円形鉄心があり、円形鉄心は角がないぶん磁気抵抗の効率がよく、珍しいタイプ。リアクトルのように鉄心と鉄心の間にあえて空気層(ギャップ)を設け、その寸法で特性を微調整したい場合に使いやすいのだそうです。一つひとつの部品を積み、止め、叩いて固めていく工程は手間こそかかりますが、組み上がったものは驚くほど整然として美しく、思わず「芸術的だ」と声がもれるほどでした。

最後は検査工程です。実際に電流を流し、規定のリアクタンス値(L値)が出ているかを一台ずつ確認します。1台あたり20分ほどかけて電気特性・絶縁性能・外観品質をチェックし、ここを通ったものだけが全国のお客様のもとへ出荷されていく。大は重量2.8トンを超えるものから小さなものまで、大小さまざまな製品が完成を待っていました。会社案内で聞いた「目に見えないところを支える」という言葉が、各工程の手仕事を見たことで、確かな実感として腑に落ちる見学でした。

取材メモ

今回の取材で一番心に残ったのは、「電気がある限り、この機器は必要とされ続ける」という製品への静かな自信でした。原理が発明以来ほとんど変わらない枯れた技術だからこそ、長く社会のインフラを支えられる。その揺るがない安定感が、働く人たちの落ち着いた雰囲気にもつながっているように感じました。

そして何より、巻線・含浸・組立・検査という一つひとつの工程に、想像以上の手作業と職人の感覚が宿っていたことに驚かされました。普段は意識することのない変圧器やリアクトルですが、その内側には膨大な手間と工夫が詰まっている。「目に見えないところを支える」という言葉の意味を、工場で実感できた一日でした。

INTERVIEW 01

社長インタビュー

川野晴也社長へのインタビューの様子
川野 晴也 社長
現場をよく歩かれる、穏やかで気さくな雰囲気の社長。社員との距離の近さが印象的でした。
「最後まで供給する」というラストランナーの覚悟が、会社の芯を通しているのだと感じました——。(取材記者)
他社と比較して、御社の強みや魅力はどこにあると思いますか?

まず、設計者に恵まれていることです。おかげで他社では断られるような特殊品の依頼も、営業が常に受注してきてくれます。「何でもやります」という姿勢でいるので、他社で断られた製品にも、まずは挑戦します。

他社が断る理由はさまざまです。単純に「面倒くさい」というものもあれば、「製作が難しい」「そもそも設計まで到達しない」というものもある。作った後のフォローが続けられない、という会社もあります。そういう案件を、当社は設計力で受け止めている。その上で、適正価格をいただき、難しい仕事をさせていただけることが信頼につながっています。

強いところでいえば、ある製品では国内100%のシェアを持っています。少量で、そんなに数の流れる品ではないので、他社は「そこに力を入れるより別の分野へ」と考えたのでしょう。気づいたら当社だけになっていた、という形ですね。短時間定格品やリアクタンスに関するノウハウの蓄積こそが、当社の核です。逆に言えば、一般的な変圧器のような分野では競争力は強くない。ある程度ニッチな領域に的を絞って勝負しているのが、当社の特徴だと思います。

御社が大切にしている価値観はありますか?

品質・納期・価格を守るのは当たり前のこと。そのうえで当社が大切にしているのは「ラストランナー」という考え方です。同業他社が廃業していく中で、最後まで頑張って当社が供給しよう、という姿勢ですね。

実際、同業者は本当に減ってきました。私が入った頃は何社かライバルがいて、それぞれ手がけていたのですが、親会社の方針転換や不採算部門の整理などで、一社また一社と撤退していった。そのたびに「じゃあ電気計器さんに任せるわ」と仕事が集まってくる。今からこの業種に新規参入する会社はまずないでしょうから、残った我々が責任を持って供給し続けるしかない、と思っています。

従業員の方のワークライフバランスのために取り組んでいることは?

数年前から年間休日を120日ほどに増やし、基本は土日祝休みにしています。有給も取りやすく、半休のように半分だけ休む取り方も可能です。忙しい時期は頑張って出てきてもらうこともありますが、普段は気軽に取れる雰囲気ですね。

副業も認めています。確定申告はご自身でやってもらう前提ですが、働き方の選択肢を広げる意味で、そこは柔軟にしています。社員が社内で過ごす時間は就業年数の3割にもなります。だからこそその時間も快適であってほしい。トイレや事務所をきれいにしたり、エアコンを整えたりと、ちょっとずつですが過ごしやすい環境づくりを続けています。

社内コミュニケーションを円滑にするために取り組んでいることは?

問題が発生したときには、早期に関係者で集まって打ち合わせることを徹底しています。イメージしているのは、ある製薬会社のコマーシャルで見た「工場の中に響く鐘の音」の仕組み。何か問題が起きたら鐘を鳴らして集合する——あれを見て、当社でも問題が起きたらすぐに集まって情報共有しよう、と。現場の判断で起きたことも、社長を含めてみんなで話し合います。

事業計画の中には「予測予知能力の向上」という項目も掲げています。誰もが発信できる職場づくりを目指していて、五感で違和感を覚えたら、ちょっとでも声に出してほしい、としつこく伝えています。実際、「乾燥機の音が変だ」と気づいて言ってくれた社員もいて、見てみると本当に異常があった。重大な事故の手前には必ずいくつものシグナルが出ているはずで、それを違和感として拾えるかどうかがとても大事だと思っています。

従業員の方に働きがいを感じてもらうために行っていることは?

当社は流れ作業をしていません。コイルづくりは一人が最後まで全部仕上げますし、組立も一人で一本の製品を完成まで担当します。自分の力でやり切ってもらう。当然仕事はチームプレーですが周りの援助もいただき、失敗も含めて、最後まで責任を持つ。その達成感が、やりがいにつながればと考えています。

製作する機種によって難易度はかなり変わります。そこはISOの教育訓練や力量評価ともひも付けていて、「この巻線ができるようになったら、次はこれ」「これは一人で任せられる/まだ誰かに見てもらいながら」というレベルを一人ひとり評価しています。できることがどんどん増えていくのが目に見えるので、本人のやりがいにもなる。みんなには、どんどん「出る杭」になってほしいと思っています。出る杭は伸ばしていきたいですね。

従業員の方が安全に働けるように行っている取り組みは?

有機溶剤の扱いを見直し、ニスをシンナー系からエポキシ系へ切り替えたのも安全のためです。シンナーは可燃性が強く、置ける量も制限されますから。また、社内全体の照明をLEDの明るいものに交換し、作業しやすい環境にしました。

端子をつける際のハンダ付け作業では、以前は半分ほどしかなかった排煙設備を全台につけ直しました。服装の注意喚起も定期的に行い、事業計画の中にあえて「火災予防」を項目として掲げています。実際、同業他社で大きな火災が起きた例もあり、決して他人事ではありません。大きな事故ほど、起きてしまってからでは取り返しがつかない。だからこそ、先ほどの「予測予知」のように、小さな違和感の段階で気づける文化を大事にしています。

従業員のキャリア成長やスキル取得のために行っていることは?

業務で使う資格の取得を支援しています。クレーン・玉掛けなどはみんな取っていきますし、社内検定も設けています。ハンダ付けや溶接については、まず社内で方針を定め、社内検定で力量を評価する仕組みにしています。費用は会社が負担します。

溶接が必要になるのは、たとえばアルミ線の場合です。アルミは圧着端子が直接つけられない——圧着しても縮んだまま反発力が戻らないので——だから溶接で端子をつくり、端子台へ持っていく。銅とはまったく特性が違うんです。こうした技術も、現場で身につけてもらえるようにしています。

育て方そのものも変えてきました。昔は「あなたはずっと巻線」「あなたは一生組立」という固定でしたが、今は多能工化を進めています。最初に入った社員には巻線も組立も両方覚えてもらう。工程をまたいで理解が深まると配慮の質が上がりますし、繁忙期にすぐサポートに入れる柔軟さも生まれます。これは私が社長として「そうしたい」と思って変えたところですね。

経営者として、御社で働く一番の魅力は何だと思いますか?

働きやすさは、自信を持って言えます。みんな優しいですし、社員同士のコミュニケーションも活発です。

少し変わった取り組みとして、豊中市と連携し、就職のタイミングを逃した方——引きこもりや生活困窮の状態にあった方、親の介護でずっと就職できなかった方など——を受け入れるプロジェクトに、10年ほど前から参加しています。きっかけは、市から「参画してみませんか」と声がかかったこと。オリエンテーリングのように求職者が何社かを一日かけて回る場に手を挙げ、お試しで1週間ほど来てもらって、お互いにマッチングを確認したうえで採用します。

そうして入った社員が、今ではもう十数名働いてくれていたりする。一人で完結する巻線の仕事が、かえって本人に合うこともある。「働きたいけれど一歩が踏み出せない」という思いを持つ方の背中を押せたら、という気持ちで続けてきました。人手不足が言われる今の時代に、まだまだ働きたい人はいる——それは私にとって大きな気づきでした。

今後の会社のビジョンを教えてください。

やはり最後は「ラストランナー」です。会社を継続していくこと、それ自体が一番のビジョンですね。100年、150年と続く会社でありたい。規模を大きく広げるというより、今くらいの規模を保ちながら、必要とされ続ける存在でいたいと考えています。

同業者が減るぶん、当社に集まってくる仕事は増えています。撤退する会社から機械を引き取り、その機械でしかできない製品の作り方を教わって引き継ぐ、ということも実際に起きています。残された我々が、その技術と供給を最後まで担っていく。そこに当社の役割があると思っています。

では最後に、求職者の方へメッセージをお願いします。

可能な方であれば、まずは「体験」という形で現場に来てみてほしいですね。実際に手を動かし、自分に合うかどうかを確かめる。先ほどお話しした就職支援のような形で踏み出す方もいますし、性別も問いません。女性の社員も活躍しています。

スキルはゼロからで構いません。今いるメンバーも、多くは同業からの経験者というより、まったく別の世界から入ってゼロから覚えていった人たちです。理系・文系も問いません。最初は何も知らなくても、続けていけば一人前になれる。そういう間口の広さこそ、当社の魅力だと思っています。

取材メモ

社長のお話で何度も立ち返ってきたのが「ラストランナー」という言葉でした。華やかな成長や拡大ではなく、「最後まで供給し続ける」という覚悟を会社の芯に据えている——その潔さと責任感に、ものづくりの矜持を感じました。同業が撤退するたびに技術と供給を引き継いでいく姿は、業界全体を陰で支える縁の下の力持ちそのものです。

もう一つ強く印象に残ったのは、就職のタイミングを逃した方を受け入れる取り組みでした。制度として華々しく語るのではなく、「働きたいという思いを持つ人の背中を押したい」という素朴な動機から10年も続けている。現場を気さくに歩き回り、社員との距離が近い社長だからこそ実現できている文化なのだと、見学中の空気感からも伝わってきました。

INTERVIEW 02

従業員インタビュー

永吉係長へのインタビューの様子
永吉係長
勤続10年。組立工程を担当しながら、労働組合の組合長も務めておられます。穏やかで誠実なお人柄が印象的でした。
「小さな部品だけど、なくてはならない」——その責任感が、日々の仕事の手応えになっているのだと感じました。(取材記者)
一日のスケジュールを簡単に教えてください。

始業は8時半です。まず朝礼で当日の生産目標を確認し、そこから作業に入ります。昼の休憩は12時から45分まで。午後はその続きを進めながら、こまめに他部署との会議や打ち合わせを挟みます。

夕方は進捗の確認や清掃・片付け、その日の振り返りを各自で行って、定時は17時15分です。一日の休憩は45分ですね。決まった型はありますが、その日の状況に応じて部署間で連携しながら動いています。

職場の雰囲気はどうですか?

グループ全体で100名ほどの規模で、いくつかの部署に分かれて作業しています。そのぶん他部署との交流が深まりやすく、風通しはとてもいいです。現場仕事なので少し職人気質なところはありますが、面倒見がよく、ちょっとおせっかいなくらい色々と教えてくれる人が多い雰囲気ですね。

年齢も勤続年数もバラバラですが、分け隔てなく、意見の交換がしやすい。下からの意見も吸い上げようとしてくれていて、「気になることがあったら言ってね」と頻繁に声をかけてもらえます。実際に意見が反映されることも多く、可能な限り希望に沿った形にしてくれる。とても働きやすい環境です。

残業や休日取得についてはいかがですか?

一昨年あたりは年間を通して繁忙期が続き、巻線課はかなりタイトで、おそらく月30時間を超えていた時期もありました。組立課は20時間ほどで、なるべく部署ごとに割り振るようにしています。ただ、ここ1〜2年の話で、それ以外の時期はそこまで残業は立て込みません。

休日は会社カレンダーがあり、ゴールデンウィークやお盆、年末年始もしっかり休めます。土曜出勤は今年度で年4回ほど。1年52週のうちの4回なので、基本的にはきちんと休める運用です。

ワークライフバランスについてどう考えていますか?

正直、「ワークライフバランス」という言葉自体にはあまりなじみがなかったのですが、私なりに考えると——現場仕事は危険を伴う作業も多いので、前日の疲れを持ち越さず、しっかり休養を取ることが何より大事だと思っています。

仕事を家に持ち帰ることもありませんし、定時になったらみんなピタッと切り替えて帰る雰囲気なので、オンとオフの切り替えはできていると思います。先ほど話した残業が立て込んだ時期を除けば、仕事のせいで私生活が大きく削られるような感覚はあまりありません。

仕事をしていて、やりがいを感じるのはどんなときですか?

当社では一つの製品をいろんな部署で協力してつくり上げます。部署を超えて知識や技術を出し合い、最後に大きな製品が完成してトラックで出荷されていく——その瞬間は、ホッとする反面、強いやりがいを感じます。

そして、当社の製品が船舶や電気のインフラといった、社会を支えるものの一部になっていく。小さな部品ではあるけれど、なくてはならない。その責任感が、日々の手応えになっています。

何年か前、ある災害の際に、現地へ供給する機器を「最優先で製造してほしい」と営業から依頼がありました。当時はそこまで忙しくなかったので最優先で作らせてもらったのですが、後日その営業さんが、お客様から「本当に助かりました」と言われたと伝えてくれたんです。ほんの一言でしたが、大変な状況にある人の人助けに一役買えたのかなと思うと、5、6年経った今も記憶に残っています。あれは忘れないと思いますね。

社員として働く中で、最大の魅力はどこだと思いますか?

当社は特注品が多いんです。図面や仕様書、外形図を読み解いて、紙ベースの情報から「どういう部材構成で、どういう形に仕上げていくか」を自分で考えて広げていく。その過程で適材適所を判断していく経験や技術は、どこでも通用する自分の武器になると思っています。

会社の規模感もあって、「こういう治具があったら便利だな」といった提案を、社長や役員の方がちょこちょこ聞きに来てくださる。それが採用されて効率が上がることも結構あって、上から下まで風通しがいいと感じます。工場見学でも同じ空気を感じてもらえたと思いますが、社員の側から見ても本当にそうなんです。

ちなみに私はもともと電気や物理の出身ではなく、前職は別メーカーの工場でラインの溶接機を扱っていた程度でした。それでも、ここでは自分のスキルが試され、問われている感覚があって、まったく違う面白さがあります。

働く上で大切にしていることはありますか?

まずは安全第一です。そのうえで、メンバーとのコミュニケーションをなるべくお互いに取り合うこと。当社の製品は長いスパンで使ってもらうものなので、見えないところまで気を配って組み立てることも大切にしています。

社長が掲げる「予測予知」——五感で違和感を覚えたらすぐ伝える、という方針も、現場では大事にしています。何度か重ねている作業に対して「あれ、なんか違うな」と気づけるかどうか。年数を重ねるほど勘も働きますが、勤続の浅い社員がふと気づいてくれることもあって、びっくりさせられることもあります。それぞれの感覚を共有して、風通しの良さゆえにすぐ上に上げられる。それが後々の大きなトラブルを防ぐ前段階になっているんです。

逆に、この仕事に向いていないのはどんな人だと思いますか?

職人気質が強すぎる人は、少し難しいかもしれません。一人で黙々とやり続けるのは悪いことではないのですが、当社の製品は一人だけでは完成しないので、連携は絶対に大切にしてほしい。これはどんな会社、どんな業種でも同じだと思いますが、特に当社では「人とつながりながらつくる」ことが欠かせません。

では最後に、求職者の方へメッセージをお願いします。

今のメンバーにも最初は工具の扱いや名前を知らずに入社してくれた者もいます。 そこから、一緒に働くうちに、今では欠かせない存在になってくれた人ばかりで す。だから未経験の方でも、しっかり学んでいってくれれば十分に働けます。

そのうえで、コミュニケーションを大切にできる方、自分で考えることができる方に来ていただけると嬉しいですね。一人で完結する仕事ではないからこそ、人とつながり、考えながら成長していける。そういう方なら、きっとこの会社で活躍できると思います。

取材メモ

永吉係長のお話で印象的だったのは、「小さな部品だけど、なくてはならない」という言葉に込められた静かな誇りでした。災害時に最優先で製造した機器のエピソードを、何年も経った今も鮮明に覚えておられる姿から、自分の仕事が社会のどこにつながっているかをきちんと感じながら働いておられるのだと伝わってきました。

労働組合の組合長というお立場にありながら、「会社とはお互いを信頼し合える、いい関係が築けている」「日常で気を張るような場面はない」と穏やかに語られたのも印象的でした。協議の場ではきちんと役割を果たしつつ、普段は社長とも気さくに言葉を交わせる——会社と社員の信頼関係が、制度ではなく日々のコミュニケーションの積み重ねの上に成り立っていることがよくわかります。特注品を自分の頭で考えて形にしていく面白さ、風通しの良さ、そして人とのつながりを大切にする姿勢——働く人の言葉から、この会社の芯にあるものが静かに立ち上がってくる取材でした。

LINKS
電気計器株式会社の公式サイト →
掲載をお考えの企業様 →