わたしたちからみたフクテツ工業さん
一言で収まりきらない"製造業"

インタビュー中は笑顔が絶えませんでした。
車で滋賀県湖南市に入って20分ほど走ると、のどかな田園風景の中にちらほらと工場が見えてきます。その一つに、フクテツ工業さんの会社があります。道路を挟んで一方には工場、もう一方には交流こうば「BURATTO+」が並んでいます。
フクテツ工業さんは、遮熱ネットを製作している製造業です。遮熱ネットシステムは、太陽熱による建物や室内の温度上昇を抑えるためのものです。特に室外機向けのものは、エアコンの室外機を直射日光から保護することで、熱交換効率を向上させます。これにより、消費電力が削減され、電力料金の節約に繋がります。
しかし、これはフクテツ工業さんの一部の面でしかありません。嶋岡社長は「やれることはなんでもやる」というスタンスで、非常に多くの仕事を実施しています。その幅広い取り組みが、このあと紹介する「BURATTO+」にも繋がっているのかもしれません。
願いを"叶える"工場

工場を丁寧に案内していただきました。
フクテツ工業さんは、「やれることはなんでもやる」というスタイルで、多くのお客様の願いを文字通り具現化してきました。その取り組みは他の製造業とは一線を画します。お客様のどんな要望にも真摯に向き合い、最善の方法を模索しています。
もちろん、全ての依頼を即座に実現することはできないため、お断りせざるを得ないこともあります。しかし、フクテツ工業さんはそこで終わりません。お客様からの難しい依頼を「宿題」とし、自らの課題として持ち帰り、常に進化を目指して挑戦し続けるのです。
実際に私たちが工場を見学した際にも、お客様からの要望を形にした製品が数多く展示されていました。長年の実績と知恵、豊富な経験を駆使して、ものづくりという最高の形で答えを出すのです。フクテツ工業さんの工場は、誰しもの願いを叶える場所だと強く感じました。
すべてが"繋がる"場所

おしゃれすぎるBURATTO+。
そんなフクテツ工業さんの想いが具現化した場所があります。それが交流こうば「BURATTO+」です。ここは異業種間の交流と連携を通じて、これまでにない新しいアイデアや価値を創出することを目的としています。
「BURATTO+」は、これまで断ってきた案件の具現化に留まらず、新たな可能性に繋がる場所です。異業種を越えた知識が混ざることで全く新しいものが誕生する可能性を秘めています。
この空間は、嶋岡社長のこだわりが詰まった場所です。2階のワークスペースでは、窓の配置がユニークで、立った状態では下が見えるのに対し、座ると空しか見えない絶妙な高さに設定されています。作業に集中しやすい環境を提供するための社長の細やかな気遣いによるものです。
他にも最新の家電やおしゃれな家具、清潔感のあるデザイン性に優れつつも機能性を忘れない工夫が随所に見られます。フクテツ工業さんの情熱とこだわりが詰まった「BURATTO+」は、地域と企業、そして人々を繋ぐ重要な拠点となるでしょう。
緊張している私たちに終始丁寧に対応していただきました。素人の質問が多く恐縮していたのですが、どんな質問にも真剣に答えてくださり、多くのことを学ぶことができました。
最後に案内していただいた「BURATTO+」は、どこのカフェやレンタルスペースよりもおしゃれで綺麗で、こんな場所が職場にあるなら働きたいと思えるような空間でした。
社長インタビュー

元々は、産業向けの合理化装置を作るのが先代の仕事でした。ただ、その機械受注には波があり、安定性のある量産品、主に自動車関係の部品の作成をスタートしました。
僕は、お客様のご要望に対してやれることは何でも応えるようにしています。色々な人と繋がることで、自分の会社ではできない、とただ断ることはしません。できないことは次の宿題として受け取り、小さい会社だけど何でもさせてもらおう、というのが今の営業スタイルです。
正直、自分ではっきりとは分からないです。ただお客さんが気軽に相談してくれていることそのものが自分には見えない強みかな、と。あとお客さんが長期に渡ってお付き合いしてくれているということ、それは魅力があるということなのかなと思います。
同じことを続けていても面白くないですしね。それなら、自分のしたいことやお客様の困っていることに応えていくことで、自分たちの力になっていくのかな、と。お客さんに楽しませてもらっているという想いが強いのかもしれません。
お客さんが困っていることを一緒になって最善策を探します。困り事ってお金をかければ誰でも解決できるんです。
例えば、これこれを作ってくれないか、と頼まれた時、素直に作ると300万円かかるんです。そのまま受注できたら僕らとしては当然プラスなんですが、そもそも300万円かけてやる必要のないことかな、と思ってしまった時に、僕たちなら20万円でできますよ、と伝えます。出来るだけ無駄のないようなご提案をさせてもらい、より良い方向になるようにを意識しています。それが僕らの価値観です。
よく伝えているのは、残業をして給料を増やすのではなく、効率よく仕事をして定時に帰るようにしましょう、と。残業で給料の確保となれば、自分がダメになっていくし、生産効率が落ちていく可能性があります。できるだけ残業がないように、上手な仕事のやり方を考えていこう、と現場には任せています。
休みを取りたい社員が休めるようにし、その分周りのメンバーが協力し、無理のない体制をとることで好きなことをする時間を確保してもらっています。基本的には、現場には細かく言わないようにしています。
できるだけ距離感を取らないようにしています。現場に降りたら同じ目線で話を聞くようにしています。現場からの意見で僕ができることはすぐに繋げるようにしています。そういったやりとりはできるだけスピード感をもってするということを心掛けています。
そして従業員のやりたいことをやらしてあげるようにもしています。コミュニケーションを取るときは、社長というより、相談相手という距離感で接するようにしています。また挨拶は必ず僕からして、その際の顔つきをよく見るようにしています。
ここで働く人には、「仕事」とはなにか、「作業」とはなにか、ということをちゃんと分かってもらいたいです。僕の考える「仕事」と「作業」の違いというのは、「仕事」は考えることであり、「作業」はその考えを実行することだということを絶えず言っています。
「仕事」ができるということはどこの会社に行ったとしても、どんな作業もやっていけると思います。「作業」をおもしろくするためにもう少し「仕事」を工夫するのはどうですか?と伝えています。このようにして仕事のレベルが上がるように誘導し、「考え方をしっかり持ちなさい」と絶えず伝え、人としての価値観を上げられるように指導することを意識しています。
僕から言えることはないかもしれません。それはきっと働きたいと思ってくれた人が言うことなのかな、と。僕はいつも自分がしたいことをしています。だからあえていえば魅力は、働く人がいてくれていることそのものかな、と思います。
ここに限らずいろいろなものを見てほしいですね。キャリアアップという言葉でもわかるように、今自分に何が足りないのかを見極めて進んでほしいです。人に見せるプライドだけではなくて、自分の中のプライドをちゃんと持って働いていってほしいですね。そしてしっかりお金を稼いで、しっかり使ってほしいな、と思います。
私たちの質問一つ一つに対して、真摯に丁寧に答えていただきました。とても優しい語り口ながら、そこには情熱が垣間見え、仕事や従業員のことを真剣に考えていることが伝わりました。
ここで学べるのは製造業のスキルだけではなく、仕事のスタンスや上手に生きていくために必要なこともあるのだろうと感じました。