Company Report

株式会社一瀬製作所

街の顔を、一品ずつ。

大阪府・門真市/鳥取県・境港市 ステンレス建具・建築装飾金物のオーダーメイド製作
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ビルの入口まわりのステンレス建具や装飾金物を、一品一様のオーダーメイドで製作。門真と境港の2工場で、切断から曲げ・溶接・組立・検査までを社内一貫でこなします。

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1975年創業。外観図から社内加工図を起こす「バラ図」の設計力と、複数の職人を束ねる組織力で、他社が請けきれない難しい仕事を受けとめます。

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手がけた製作物は、都心の超高層ビルから大型商業施設の入口まで。普段は気づかれない「建物の顔」を、全国で静かに支えています。

わたしたちからみた一瀬製作所さん

ビルの入口をつくる。一品一様のものづくり

会社案内で、営業から出荷までの社内の流れを説明する株式会社一瀬製作所の社長

取材は会社案内から。営業から出荷まで、社内で仕事がどう流れていくのかを一枚の図で説明していただきました。

一瀬製作所さんは、大阪・門真市に本社工場、鳥取・境港市に鳥取工場を構える会社です。つくっているのは、ビルの入口まわりのステンレス建具や自動ドア、パネル、ひさし、手すりといった製作物。そのほとんどが、図面をもとに一つずつ形にしていく一品一様のオーダーメイドです。歴史は古く、1975年に現会長が創業したのが始まり。その後、鳥取に第2工場を構え、いまの2工場体制ができあがりました。多くの職人を抱え、この規模で一品一様のものづくりを続けている会社は、業界でもそう多くないそうです。

ちょうど昨年、創業から半世紀の節目を迎え、大阪と鳥取の社員を集めて記念のパーティーを開いたと、社長がうれしそうに話してくれました。翌日はみんなで足をのばして、という社員旅行も兼ねた企画だったそうです。長く続けてきた会社ならではの、あたたかいエピソードでした。

取材は、これまで手がけてきた製作物の紹介から始まりました。都心の大型再開発ビルの1階まわり、大規模な集客施設、大型商業施設のファサード。名前を聞けば誰もが知っているような建物の、その入口を、この会社がつくっています。普段は通り過ぎるだけの場所ですが、言われてみれば確かに、建物の第一印象を決めているのはこの入口まわりの金物です。「建物の顔をつくっている」という言葉が、写真を見せてもらううちによく分かってきました。

取引先は、大手のサッシメーカーやシャッターメーカー、そしてゼネコン。各社が自社で手がける標準品ではなく、寸法も形も特殊な「別注もの」が一瀬製作所さんへ回ってきます。数人の工房では請け切れない量とスピードが求められる大型案件を、確かな品質でまとめて任せられる。その信頼が、都心の名だたるビルの入口を託される理由になっているようでした。

製作物のなかには、水がかかる検査室に入る特殊な大型ドアや、複雑な曲面を描くルーバー、焼き付け塗装を施した大判のステンレスパネルなど、一つとして同じもののない品が並びます。図面には完成形しか描かれておらず、どの順番でどう加工して組み上げるかは、つくり手が自分の頭で組み立てていく。難しさと面白さが、同じ場所にあるものづくりでした。

2つの工場で、1つのものをつくる

曲げ上がったステンレス部材を一つずつ確認する様子

板を切り、曲げ、溶接して組み上げる。曲げ上がった部材は、一つずつ手に取って確かめられていました。

ものづくりは、営業・設計・機械・製作の4つの科で流れていきます。まず営業が受けた仕事を、社内で加工できる図面に起こす。これを担うのが、社内で「バラ図」と呼ばれる設計科です。建築の図面は外観だけが描かれた骨格のようなもので、そのままでは工場で加工できません。外観図を一度ばらして、切る・曲げる・溶接するための加工図と展開図に描き直す。この工程を自社に持っていることが、一瀬製作所さんの大きな強みでした。

加工図ができると、機械科の工程へ進みます。ステンレスや鉄の板を、シャーリングやレーザーで切り出し、切り欠き、曲げていく。目を引いたのは、板の裏に溝を削る加工です。曲げる前に裏側へ溝を掘っておくと、曲げたときに角がシャープに立ち上がる。建築金物ではこの鋭い角を求められることが多く、そのためだけに大型の専用機械を使っているそうです。鳥取工場には6メートルまで加工できる機械があり、長尺の部材はこちらが担います。

曲げ加工では、切り出した板を「ブレーキ」と呼ばれる機械で一つずつ折り曲げていきます。展開を計算し、角を出しながら直角に近い形へ立ち上げる。薄い板でも、角にアール(丸み)を出さずにきれいな直角を出す技術には驚かされました。曲げひとつで、既製品にはないオリジナルの部材をつくり出せる。物によってはコストダウンにもつながるといいます。最大6メートルという長さまで曲げられるのも、この会社の設備の強みです。

一瀬製作所 門真の本社工場

大阪・門真の本社工場。切断から曲げ、溶接、組み立てまでが一つの建屋で進みます。

製作科の工程では、溶接・穴あけ・組み立てを行って製品に仕上げます。ステンレスの溶接では、継ぎ目が見えないよう、いかに目立たない場所で接合するかがポイントだそうです。驚いたのは水対策の丁寧さでした。ガラスを収める下枠には内部の水を外へ逃がす水抜きパイプが仕込まれ、つなぎ目は水が入らないようシールで丁寧に止められている。取り付けてしまえば表からは見えない部分ですが、そこに神経を注いでいました。

特徴的なのは、大阪と鳥取、2つの工場を「2つで1つ」として動かしていることです。鳥取で曲げた部材を大阪で組み立てる、といった連携が日常的に行われ、ほぼすべての製品を最後は大阪に集めて出荷検査をしてから送り出す。離れた2拠点が、まるで一つの工場のように噛み合って動いていました。手がけるものも幅広く、人が水をかけて使う検査室に入る特殊な大型ドアのように、「これもうちで?」と驚くような一点ものまで引き受けています。

3D図面と、まっすぐでは終わらない加工

曲面を描く部材に穴をあける加工作業

曲面を描く部材の加工。まっすぐでは終わらない形が、同じ工程を二度と繰り返させません。

加工図は平面の図面が基本ですが、形が複雑なものは3D図面を起こしてからつくります。立体で組んでおくと間違いが減り、仕上がりのイメージも共有しやすい。ベテランになると頭の中で立体を組み立ててしまうそうですが、さすがに込み入ったものは3Dでないと成り立たない、と話しておられました。まっすぐな部材なら平面図で十分でも、曲面や角の絡む造形になると、立体で確かめながら進める必要があるわけです。

見せていただいたなかには、ブランドショップのショーケースや什器の金属部品もありました。スライドレールを組み込んだり、面取りをきれいに仕上げたり。商業施設の表側に置かれる、人の目に触れる製作物です。金属の部分はほぼ社内で対応でき、ガラスや木といった他素材だけを外部と組み合わせる。上から下まで一貫してつくれる体制が、こうした特殊な依頼にも応えられる理由でした。

印象的だったのが、薄い板を角ばった長方形に、アールを出さずに曲げてみせる加工です。角パイプのフラットバーの代わりになるような、オリジナルの部材が自分たちの手でつくれてしまう。既製品しか扱えなければ選択肢は限られますが、曲げの技術があれば、必要な形をその場で生み出せる。初めて見る加工で、見ていて素直に面白いと思いました。似ているようで、同じものは一つもない。そんな一品一様の現場でした。

取材メモ

今回の取材で強く感じたのは、「見えないところにこそ手をかける」という姿勢でした。完成して取り付けてしまえば表からは見えない部分に、水を抜く工夫や、継ぎ目を隠す溶接の技が惜しみなく注ぎ込まれている。普段なにげなく通り過ぎているビルの入口が、これほどの手間の上に成り立っているとは思いもよりませんでした。

そしてもう一つ、図面には完成形しか描かれていない、という話が心に残りました。どの順番でどう組み上げるかは、つくり手が自分の頭で考える。だからこそ毎回が新しく、だからこそ面白い。工場に流れていた落ち着いた集中の空気は、その「考えるものづくり」から生まれているように見えました。

INTERVIEW 01

社長インタビュー

株式会社一瀬製作所 代表取締役社長 一瀬勇樹氏へのインタビューの様子
代表取締役社長 一瀬 勇樹
先代(現会長)から会社を引き継ぎ、トップが一手に引っ張ってきた組織を、みんなで回る組織へと変えようと動いている社長。物腰はやわらかく、話の端々に現場への敬意がにじんでいました。
ものづくりはあまりしていない、とご本人は言うのですが、図面や段取りの話になると急に熱がこもる。根っからのつくり手だと感じました。(取材記者)
御社の事業内容について具体的にお聞かせいただけますでしょうか?

ビルの入口まわりに使われる、ステンレスの建具や自動ドア、パネル、ひさしといったものを、オーダーメイドでつくっています。ほとんどが一品一様で、同じものは二つとありません。ガラスがはまるファサードの枠だったり、装飾的な金物だったり、街なかのビルの「顔」になる部分ですね。

工場は大阪の門真と、鳥取の境港の2か所にあります。もともと大阪でやっていたのですが、35年ほど前に鳥取にも工場を構えて、今はこの2つを連携させて動かしています。鳥取で曲げた部材を大阪に運んで組み立てる、といった具合に、離れてはいますが2つで1つの工場のようなイメージです。最後は全部を大阪に集めて検査してから出荷しています。

お客さんは、大手のサッシメーカーやシャッターメーカー、それからゼネコンさんです。そういった会社が自分たちでつくる標準品ではなく、寸法も形も特殊な「別注もの」が、うちに回ってくる。だから毎回、図面も納まりも違うものをつくっている、という感じですね。

他社と比較して、御社の強みや魅力はどこにあると思いますか?

やっぱり、一品一様のものづくりができるところですね。それと、社内で加工図を起こす「バラ図」のチームを持っていて、自社で設計までできること。図面をもらってそのままつくる会社は多いんですが、建築の図面って外観だけのポンチ絵みたいなところがあるので、それだと「作れません」となる。うちは一度図面をばらして、社内の加工図に描き直せるので、そこから受けられるんです。

それから、この規模でこのクオリティを保っている会社は、業界でももう数社くらいなんですよ。都心の超高層ビルとか、名の知れたブランドのお店とか、ゼネコンさんが安心して任せられる。数人でやっているところに出して間に合わなかったら困りますから、そういう仕事がうちにどっと来る。そこが強みかなと思います。

数がまとまっても、全体で品質を安定して出せる。そこがうちの売りです。数がまとまっても、納期に間に合わせて、きちんとした品質で返す。それができることが信頼につながっていると思います。

御社が大切にしている価値観についてお聞かせください。

もう、お客さんの要望を叶えて、ええもんを作る。これに尽きます。先代がよく言っていたんですよ、「ええもん作っとったら仕事来るねん」と。本当にその通りだと思っています。

先代というのは私の父で、今の会長です。今も元気ですが、性格は私と正反対のタイプでしてね。ワンマンで、ガーッと引っ張っていく人でした。ただ、人に対してはものすごく大事にする人で。私が若い頃、社員のことで愚痴をこぼしたときには、「人はどこかにいいところがある。それを見つけて使うのが、こっちの役目や」と。そういうことをよく言っていました。愛情のある厳しさ、という感じですかね。

会社がここまで大きくなったのは、父の人柄あってのことだと思います。一代でやってきた、トップが一手に引っ張る形の組織ですね。これからも続いていく会社にするには、それを組織的にしていかないといけない。いま、その改革をしているところです。父のように豪快に引っ張るタイプではない分、私は仕組みで会社を回せるようにしていきたいんです。

私自身はものづくりの現場に立つことが少ないので、社員が働きやすくて居心地がいいようにすることが、そのまま会社が回ることにつながると思っています。

従業員のワークライフバランスを保つために取り組んでいることはありますか?

この10年で休日をだいぶ増やしました。今年から年間120日の休みにしています。10年前は100日くらいで、そこから2日ずつ増やして、去年110日だったのを、今年一気に120日にしました。

残業もぐっと減りました。忙しいときは残業もありますが、月にならすと1人2時間ほどです。始業は8時半で、終業が5時半です。繁忙期の10月、11月あたりは土曜出勤が何度かありますが、それ以外はほぼ土日も休みです。少しずつですが、社員が自分の時間を持てるようになってきたと思います。

社内コミュニケーションを円滑にするために行っていることはありますか?

私自身は、一人ひとりに声をかけるようにしています。「どうや」と。これは先代の頃から言われてきたことで、なるべく毎日、鳥取工場にも月に2、3回は行って、現場を回りながら声をかけるようにしています。

会社としては、年に2回バーベキューをやったり、あとは毎月、改善活動を一人1件出してもらって、良いものには報奨金を出したりしています。バーベキューのときに年間の最多賞を表彰したりもしていますね。

従業員に働きがいを感じてもらうために行っている取り組みを教えてください。

うちはつくっているものがものなので、完成したら写真を撮って社員に見せるようにしています。営業がお客さんのところへ行くついでに撮ってくることも多いですね。自分がつくったものが街に残って、長くいろんな人に見てもらえる。これはつくり手にとって、すごいモチベーションになるんです。

盛り上がった現場でいうと、都心の超高層ビルや、大規模な集客施設なんかがそうですね。テレビにもよく映る建物です。新しくオープンしたお店として番組で紹介されるとき、その一瞬に入口が映るんですよ。「あれ、うちがやったやつや」と。いま動いている物件の話も、折にふれて社内で共有するようにしています。そうしておくと、完成してテレビに映ったときに盛り上がる。そういう瞬間が、やりがいになっていると思います。

もう一つ、FactorISM(ファクトリズム)という工場見学のイベントにも参加していて、今年で7年目です。声をかけてもらったとき、真っ先に言ったのが「うちの会社、見るところありますか」でした。ところが溶接のような、私たちには当たり前の作業でも、一般の方は「すごい」と言ってくださる。1年目はほぼ私一人で始めて、3年目に若い社員をリーダーにしたら、空気がぐっと変わりました。ふだん誰かに褒められる仕事ではないので、来場者に「すごい」と言われると職人の心がくすぐられる。自分たちの仕事に価値があると、外の目を通して実感できるんです。

従業員が安全に働けるよう取り組んでいることはありますか?

月に1回、部門長で安全衛生委員会をやっています。ヒヤリハットを中心に、こういうことがあった、というのをみんなで共有して、意識を高めるようにしています。機械の刃を扱うので、そこは特に気をつけています。

先代も安全にはものすごく敏感な人でした。それを私は、組織の仕組みとして続けていきたいと思っています。設備の面でも、安全装置は順次つけていく方針です。

従業員のキャリア成長やスキル習得のために行っていることを教えてください。

クレーンやフォークリフトの資格は、会社として取りに行っていいよ、と。平日に行っても、ちゃんと休みをつけるようにしています。あとは、中小企業向けの工場長研修が国の施設であるので、何人か行かせました。改善活動ではコンサルの方にも来てもらっていて、外からの助言も大事にしています。日々の現場につながっているんじゃないかと思います。

経営者として、御社で働く最大の魅力はどこだと思いますか?

ものづくりが好きな人だったら、時間があっという間に過ぎるくらい、没頭できる環境だと思います。私自身、現場の作業やバラ図を書いているときが一番楽しいんですよ。余計なことを考えず、ものづくりにひたすら向かっているときが面白い。

うちの図面には、どこから作るかという手順が一切書いていないんです。完成形だけがある。それをどう作るか、何を先につくるか、どうすれば早くできるかを自分の頭で組み立てていく。料理と一緒で、時間のかかるものから先にやっておくとか、そういう段取りを考えていると頭がいっぱいになる。ちょっとしたシミュレーションゲームみたいで、私はその時間がすごく好きですね。

今後の会社のビジョンや目指す姿を教えてください。

これから目指したいのは、もっと安定してものづくりに向き合える体制です。「困ったらまず一瀬に出すよ」と言ってくださる、うちのファンになってくれるお客さんを増やしていきたい。それと、これまで中心にしてきた建築の仕事に加えて、今少しずつ手がけている産業機械の筐体やカバーといった分野も広げていきたいと思っています。分野の異なる仕事を両輪で回せるようになれば、会社としてより強くなれる。付加価値の高いものづくりが、うちの持ち味だと思っているので、そこをさらに伸ばしていきたいですね。

あと、これは私の夢なんですが、社員向けのまかない食堂をつくりたいんです。手作りのご飯が昼に出てくる、店構えもおしゃれな食堂。おいしい昼ごはんがあるだけで、一日の楽しみが増えますし、モチベーションも変わると思うんですよ。先にやっている会社へ食べに行かせてもらったこともあって、何品も出てきて本当においしかった。いつか実現させたいですね。

就職に悩む学生や求職者の方へメッセージをお願いします。

ものづくりが好きな人だったら、楽しく、いい仕事ができると思います。自分がつくったものが形になって街に残る。これは本当にやりがいになります。それを見て、また新しい仕事が来て、つくって、見に行って「ああ、良かった」と思える。街のランドマークになるようなビルの玄関まわりをつくっていたら、それはもう街の顔をつくっているようなものですから。そういうものづくりが好きな人には、ぜひ来てほしいですね。食堂ができていたら、「美味しい昼ごはんもあるよ」と言えるんですけど。

INTERVIEW 02

従業員インタビュー

機械科・難波さんへのインタビューの様子
難波さん(機械科・入社17年目)
曲げ加工を担う機械科のベテラン。落ち着いた語り口の奥に、工夫を楽しむものづくり好きの一面がのぞきました。
「毎日やっていることが違う」と話す横顔が、いちばん生き生きしていました。(取材記者)
1日のスケジュールを簡単に教えてください。

私は機械科で、入社17年目になります。朝は8時半の始業で、夕方5時半までが基本です。お昼の休憩に加えて、午後にも短い休憩があります。私が担当しているのは、いわば下地になる部材のほうで、その上にかぶさる部分は鳥取工場でつくっています。だから、お互いの精度がよくないと、現場でうまく合わないんですよ。日々、そこに気をつけながら、切る・曲げるといった加工を進めています。

職場の雰囲気はいかがですか?

部署によりますね。和気あいあいとしているところもあれば、静かに黙々とやっているところもあります。ただ、休憩時間や喫煙所のあたりになると、いろんな部署の人が集まってよく話しています。仕事をするうえでのチームワークは、しっかりありますよ。

私自身は、もともとものづくりに馴染みがありました。父が木工でものを作るのが趣味で、横で見たり手伝ったりしていたので。趣味でいうと、学生の頃はハンググライダーをやっていました。鳥人間コンテストに憧れていて、他大学のサークルに入って。コンテストには出られませんでしたが、空は飛べたので満足しました。今はキャンプやギター、それにガンプラを買っても作る時間がなくて、箱が山積みになっていますけどね。そういうものづくり好きが集まっている職場なので、話は合いやすいと思います。

残業や休日取得の実態について教えてください。

残業は、忙しいときはありますが、月にならすとそう多くはありません。休みもきちんと取れています。休日出勤も、繁忙期に何度かある程度で、基本は土日が休みです。どうしてもというときは出ますが、休むときはしっかり休む、というメリハリはつけやすい環境だと思います。

御社のワークライフバランスについてはいかがでしょうか?

仕事とプライベートは、結構はっきり分かれていると思います。特に問題なくやれていますね。最近は、休みの日は家族と過ごすことがほとんどです。子どもを連れて出かけることも多いです。

仕事でやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

私の部署は、つくっていても完成品が想像しにくいんです。でも、街なかで「これ、うちでやっているやつやな」と分かるものを見かけたときは、「おお」と思いますね。

はっきり覚えているのは、大阪の再開発ビルの現場です。その1階まわりを、うちが手がけました。半径200ミリほどのきつい丸みのある造りで、その曲面もうちの仕事です。会社のみんなで見に行ったときには、ぐるっと一周回って写真を撮りました。何か月もかけて仕上げた分、竣工したビルを目の前にしたときの達成感は格別でした。家族に自慢できるのも嬉しいです。

FactorISMも楽しいです。普段はまったく接しない一般の方と話しながら、仕事を見てもらったり、一緒に作業をしたり。機械の説明をするだけでも反応がいいので、やっていて楽しいですね。妻と子どもも連れて行きました。

社員として、御社で働く最大の魅力はどこだと思いますか?

自分がつくったものが、結構長い間、いろんな人に見てもらえる。これは大きな魅力だと思います。部品づくりだと、どうしても隠れてしまって、名前が出ることもないですから。うちは、街に残る「見える」ものをつくれる。そこがいいところかもしれません。昔、社員旅行で東京に行って、自分たちの手がけた物件を巡ったこともありました。三十人くらいでビルの前をうろうろして、ちょっとした聖地巡礼みたいでしたね。

この仕事の面白さや難しさは、どんなところにありますか?

工場のイメージって、ライン仕事みたいに、流れてくるものに同じ作業を黙々とする、というものだと思うんです。でも、うちはそうじゃなくて、毎日やっていることが違う。似ているようで似ていない。この間と同じ形なのに「これじゃダメなのか」ということがよくあります。ある大きさを超えると、同じ形状でも機械に入らなかったり、曲げの手順や順番を変えないといけなかったり。それを一つずつ考えながらやっていきます。

専用の金型がない形状を、工夫でつくることもあります。昔の人がよくやっていた「背割り」といって、一度割っておいてから曲げて、あとで戻すやり方だったり。奥の入らないところを先に曲げておいたり、順番を考える。割った線が残ってもいい品物なら、目立たないところに割りを入れる。そういう複合的なことを頭で組み立てていくんです。「あんなのできたな」と思える瞬間があって、その達成感が面白い。そう思える人には、向いている仕事だと思います。

働く上で大切にしていることを教えてください。

精度ですね。さっきも話したように、下地のこちらと、鳥取でつくる上物の精度が合わないと、現場でうまく収まらないので。あとは、大きいものを2人で扱うときは、声かけをしたり、相手の動きをよく見たりすること。そうしないと、怪我や失敗につながるので、そこは気をつけています。

就職に悩む学生や求職者の方へメッセージをお願いします。

毎日同じことの繰り返しは嫌だ、という人には、うちは向いていると思います。毎日違うことをやるので。たまに、とんでもなく頭を使わないとできないこともありますが、その工夫を楽しめる人なら、きっと面白いはずです。自分のつくったものが形になって、目に見える成果として残る。そこにやりがいを感じられる人に来てほしいですね。

取材メモ

社長も難波さんも、まったく別の言葉で話しているのに、行き着く先は同じでした。図面には完成形しかない。そこからどう組み立てるかを、一人ひとりが自分の頭で考える。その「考えるものづくり」を面白いと思えるかどうかが、この会社で働く鍵なのだと思います。

金型がなければ、板を割って曲げて、また戻す。難しさをそのまま工夫の楽しさに変えていく難波さんの語り口に、17年続けてきた人の余裕を感じました。街に残るものをつくる誇りと、日々の工夫を楽しむ気持ち。その二つが、この現場を静かに支えているようでした。

Company Data

株式会社一瀬製作所の企業情報

商号
株式会社一瀬製作所
代表者
一瀬 勇樹
創業
1975年
所在地
本社工場大阪府門真市四宮6丁目2-23 鳥取工場鳥取県境港市西工業団地50-1
事業内容
ステンレス建具・自動ドア・パネル・ひさし・建築装飾金物のオーダーメイド製作

大阪府門真市に本社工場、鳥取県境港市に鳥取工場を構える金属加工メーカーです。ビルの入口まわりのステンレス建具や建築装飾金物を一品一様で製作し、外観図から社内加工図を起こし、切断・曲げ・溶接・組立・検査までを自社で手がけています。

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