わたしたちからみた東洋工作所さん
映画のワンシーンのような工場

ここは喫煙所。隣で配管を作っていることを忘れそうになります。
東洋工作所さんは、大阪府摂津市の工業地域に位置する企業です。今回私たちが訪れたのは本社である第一工場と第二工場、第三工場です。また高槻にも高槻工場があります。
主に手がけているのは化学プラントなどの配管製作ですが、それだけではありません。オリジナル製品として、デザイン性の高いアイアン家具の製作も行っています。
しかし、なによりも驚いたのは、工場の空間そのものです。麻雀卓が置かれていたり、自社製作のスタイリッシュな喫煙所、ブランコ、さらにはドラム缶を使った机と椅子のセットが並ぶなど、一般的な製造業のイメージを覆すユニークな空間が広がっていました。
どこか映画のワンシーンを思わせるようなその空間は、隣で配管が製造されていることを一瞬忘れてしまうほどです。
そんなおしゃれで独特な空間を作り上げているのが、東洋工作所の代表である岩田光正社長です。とにかくエネルギッシュで、ユーモアに溢れた"かっこいい"大人という印象の方です。
仕事の本質を垣間見る

広く明るく気持ちいいのいい工場です。
本社は第一工場として機能しており、隣接する第二工場では主に配管の製作が行われています。配管と聞くと、私たちは身近なパイプを想像しがちですが、ここで製作されているものは、人が余裕で通れるほどの巨大な配管です。
この配管を通るのは、水やさまざまな種類のガス。それぞれの用途に応じて材質や製作過程が異なります。納品先も大規模な発電所や製鋼所など、多岐にわたります。複合した配管の総延長は数十キロにも及ぶこともあり、第二工場で目にするのは製作物のほんの一部に過ぎないそうです。
また、製作は正社員だけでなく、現場ごとに外注先の職人たちが加わるそうです。この柔軟な体制を可能にしているのは、岩田社長が全国を回り、人脈を築いてきた努力の賜物だと伺いました。
特に印象的だったのは、北海道で行われた製作のお話です。冬の厳しい雪の中で行った配管整備は、自然の影響に苦しみながらも全員で力を合わせて作り上げたとのこと。その完成した配管設備の壮大さには圧倒されました。
遊び心あふれる製造業はまるでテーマパークのようで

プロが描いたようなウォールアート。
社長に工場を案内していただく中で、多くの従業員の方々とお会いしました。みなさんが笑顔で挨拶をしてくださったのがとても印象的で、工場内の明るい雰囲気からも、社長の人柄が自然と反映されているのだと感じました。
現場の2階には工具類がきちんと整理整頓されており、その管理の丁寧さにも目を見張りました。工具は定期的にメンテナンスを行い、必要な場合は新しいものを積極的に購入しているとのこと。これによって従業員のモチベーションが上がり、「自分のもの」という意識が生まれるため、結果的に工具が長持ちするのだそうです。
工場見学の最後には、レクリエーションエリアを再び案内していただきました。特に印象的だったのは、摂津市が主催した「せっつキッズファクトリー」というイベントに参加された際、従業員の皆さんが描いたウォールアートです。プロのアーティストではなく従業員の方々が手掛けたものとは思えないほどの完成度で、そのクリエイティブさに驚きを隠せませんでした。
楽しんで仕事をしているんだ、ということが工場の案内を通じてひしひしと伝わってきました。その思いは工場内の至るところに現れており、単に楽しい雰囲気を作り出すだけではなく、仕事がしやすくなるための工夫や、従業員が快適に過ごせるような配慮、さらには「こんなところまで?」と思うような細やかなアイデアまで散りばめられていました。
社長インタビュー

私たちは配管の施工を専門としています。ただし、一般的な家やマンション、ビルの配管工事ではなく、日本国内にある原子力発電所や火力発電所、バイオマス発電所といった大規模な設備を持つ発電所の配管工事が主な業務です。
具体的には、水や蒸気などの流体を流すための配管工事を行っています。これらの配管は発電所の重要な設備の一部であり、高い技術力と専門性が求められる仕事です。
私たちの強みは、これまで全国各地へ出張に行ってきた経験があることです。そのおかげで、大阪だけにとどまらず、他府県にも多くの知り合いやネットワークを築くことができました。
特に、全国各地に協力会社さんが多数いらっしゃるので、どこでも柔軟に対応できる体制が整っています。全国規模で出張が可能であることが、私たちの大きな強みだと考えています。
大切にしている価値観が6つあります。①主体的に取り組もう。②思いやりの心をもとう。③仕組み作りを楽しもう。④整理整頓を楽しもう。⑤失敗を楽しもう。⑥常識を疑おう。
この6つの価値観を大切にして、日々の業務に取り組んでいます。
私が職人だった頃は日給制でした。出勤した日数によって収入が決まり、大型連休のときは休んだ分だけ収入が減ってしまう仕組みでした。
そこで、一昨年くらいに完全月給制を導入しました。たとえ休む日があっても決まった額の給料を受け取ることができるようになり、従業員の生活の安定が図られ、仕事に集中しやすい環境を作ることができたと感じています。
麻雀やゴルフ、ボウリングなど、みんなで一緒に楽しめる場を意識して作っています。また、釣りに行ったり飲みに行ったりと、アクティビティの種類が偏らないよう工夫しています。
こうした取り組みを通じて、誰もが気軽に参加でき、楽しめる機会を提供することを大切にしています。結果として、社内のコミュニケーションが活発になり、チームワークの向上にもつながっていると感じています。
うちの会社は、自由すぎるくらい自由かもしれません。社員が休みたいときに休めるようにしていますし、自分のわがままも通るように配慮しているつもりです。ただ、それを可能にするためにも、社員には自分の気持ちや意見をちゃんと発信してほしいと思っています。
逆に、何も言わないのが一番損だと感じます。言ってくれれば対応できることもたくさんあるんですが、言わなければ気持ちが分からないことも多いですからね。だからこそ、発信してくれる人には全力で対応していこうと考えています。
私たちのビジョンは「パイプでワクワクを繋ぎ、未来を創造する」という言葉にすべてが込められています。現在、工場で製造している配管は、水や空気、砂、粉体といった様々なものを運ぶ役割を果たしています。
ただ、私たちが目指しているのは、感動や興奮、ポジティブなエネルギーを配管を通じて広げていくことです。ここでいう「未来を創造する」とは、新しい未来をつくり出す「創造」と、一人ひとりの未来を思い描く「想像」の両方の意味を含んでいます。
やりたいことや、本当にしたい仕事がまだ見つかっていないのであれば、親御さんに頭を下げてでも、もう一年時間をもらってじっくり考えたほうがいいと思います。そして、働き先を条件だけで決めるのはおすすめしません。なぜなら、働き始めれば給料が高い企業や条件の良い企業は後からいくらでも見つかるからです。
自分にとって働きやすい環境や、成長できる場所を大事に選んでほしいです。
どの質問に対しても、熱い思いがひしひしと伝わってきました。会社や従業員の方々を心から大切にしている姿勢が感じられ、「この会社を本気で良くしたい」という強い意志が言葉の端々に表れていました。
一つ一つの工夫は一見シンプルに思えるものの、その背後には深い思いや考えが込められており、その真摯な姿勢があるからこそ、従業員の方々もこの環境で快適に働くことができるのだと納得しました。
従業員インタビュー

朝は8時頃に全員で体操と朝礼を行い、1日の準備を整えます。その後、8時10分から作業を開始します。午前中は作業に集中し、10時頃に10分程度の休憩を挟みます。12時から昼休憩です。午後は13時から作業を再開し、15時までを目安に進行します。その後、作業終了後の16時45分から片付けや終礼を行い、1日を締めくくります。
楽しく仕事をしています。少なくとも私は自由にやらせてもらっているので、それが楽しさにつながっているのかもしれません。この会社では、自分の考えをしっかり伝えれば、それを受け入れてもらえる環境があります。そのおかげで、自分の意見やアイデアが形になる場面も多く、やりがいを感じながら働けています。
月給制に切り替えてから、働き方が大きく変わりました。毎週土曜日が休みになり、以前よりもプライベートの時間が確保しやすくなりました。残業についても「絶対にしなければならない」ということはなく、ほとんどゼロと言ってもいいくらいありません。休日の日数も増えてきており、より働きやすい環境になっています。
自分で考えて作業を進められるという点に、大きなやりがいを感じています。実際には現場ごとにやり方が異なります。そのため、現場に応じた工夫やアイデアを自分たちで考え出し、作業を進めていく必要があります。
特に、自分たちで考えた方法が上手くいき、現場がスムーズに進んだときには、達成感とともに大きなやりがいを感じます。
社長も話していた「100人の現場」が、私がこの会社で28年間働いてきた中で、間違いなく一番大変だった現場です。その経験を通じて、他のどの現場でも「しんどい」と感じることがなくなったほど、過酷で大きな挑戦でした。
ただ、その大変な現場を、何とかみんなで力を合わせてやり切ったことが、一番印象に残っています。あの経験があったからこそ、どんな状況でも乗り越えられるという自信につながったと思います。
私は、新入社員には嫌々ではなく、楽しんで仕事をしてほしいと考えています。ただし、仕事を楽しむためには、それなりに仕事を覚え、技術や知識を身につける必要があります。仕事を覚えることで、達成感ややりがいを感じられ、自然と楽しさも生まれてくるものだと思います。
自分から学び、仕事を楽しむ姿勢がある人であれば、きっとこの職場で成長しながら長く働けると思います。
「自由だけど、その中でチャレンジできる部分もある、だからおもしろい」という言葉が特に印象に残っています。主体性を何よりも大切にしている会社でありながら、そこで描かれる自由さには一見矛盾があるように思えるものの、それを見事に両立させている点が本当にすごいと感じました。
この「自由と主体性の融合」から生まれるおもしろさが、この会社の大きな魅力なのだと改めて感じました。